ペットの犬を診る吉村清司獣医師=島根県隠岐の島町西町、隠岐の島動物病院
ペットの犬を診る吉村清司獣医師=島根県隠岐の島町西町、隠岐の島動物病院

 島根県隠岐諸島で唯一、ペット医療に対応してきた隠岐の島動物病院(島根県隠岐の島町西町)に常勤医が着任した。初めて平日診療の体制が整い、これまで急な治療を要する場合に本土への移送を迫られてきた地元の飼い主たちを喜ばせている。

 動物病院は8年前、小動物臨床獣医師がいなかった離島のペット医療に対応しようと、県内の獣医師らが基金を設けて整備した。本土のペット愛好者からも資金を募って体制を整え、県内の獣医師が週末に航空機や船で来島して診療に当たってきた。

 ただ、入院や急を要する手術に対応できず、飼い主がペットだけケージに入れて航空便で本土の動物病院に送っていた。来島した獣医師が船の欠航で本土に帰れなくなり、本土での診療が休診になるという獣医師側の悩みもあった。

 着任したのは大阪市出身の吉村清司獣医師(57)。隠岐の島町に年に数回のペースで釣りに訪れたことがあり、関係者から、病院が常勤の獣医師を探していると聞き「動物の治療が必要な住民の期待に応えたい」と移住を決めた。

 関西の動物病院で勤めてきたベテランで、予防接種やけがの治療、手術のほか、院長業務を1人でこなす。愛犬を連れて訪れた同町西町の谷田一子さん(52)は「体調が急変したときに頼れる獣医師さんがいると安心」と喜んだ。

 国内の3千メートル級の山々を歩くアウトドア派。「海に囲まれた自然の風景がきれい」と島内の山で趣味の登山を楽しむ。

 隠岐島前からの利用者も増え、今後は入院設備を拡充し、動物看護師も確保して診療体制の強化を目指す。吉村獣医師は「飼い主と動物のとりでとして院内の体制を整えていきたい」と意欲を見せる。(森山郷雄)