中国電力社員によって車椅子対応の福祉車両に誘導される片句地区の住民=松江市鹿島町片句
中国電力社員によって車椅子対応の福祉車両に誘導される片句地区の住民=松江市鹿島町片句

 中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の重大事故を想定した原子力防災訓練が7日、島根、鳥取両県で始まった。2号機再稼働の地元同意後、初となる訓練で、関係機関が住民避難の指示など初動対応を確認したほか、立地自治体の松江市内では車椅子を利用する要支援者の避難を想定した実働訓練があった。

 訓練は、松江市を震源とした最大震度6弱の地震が発生し、2号機の注水に必要な非常用の発電機が停止した状況を想定。島根、鳥取両県のほか、原発から30キロ圏内に位置する松江、出雲、安来、雲南、米子、境港の6市など約150機関の2900人が参加した。

 午前8時半ごろ、島根県が中電から2号機の冷却に必要な注水機能が消失する可能性があるとの連絡を受けた。県庁で自衛隊や県警とともに地震による道路の被災箇所や家屋の倒壊状況を踏まえた避難経路を検討。同11時過ぎ、各自治体へ住民避難や屋内への退避要請を出した。

 松江市鹿島町では、片句、佐太、御津、手結の4地区の住民計5人が要支援者役として中電と市の用意した車椅子用車両に乗り、放射性物質を取り除く設備のある同町北講武の特別養護老人ホーム「あとむ苑」まで避難。御津地区の孤立を想定した巡視船を使った模擬避難や、傷病者を深田運動公園(同町佐陀本郷)で自衛隊ヘリに受け渡す訓練もあった。

 鳥取県庁でも、午前8時45分に災害対策本部を設置し、避難経路や道路の被害状況を確認。県と米子、境港両市による合同の連絡会議では、両市が住民への屋内退避要請や安定ヨウ素剤の緊急配布にむけた準備状況を報告した。

 30日は3年ぶりの広域避難訓練を予定し、一部地区で初めて避難に自家用車を使用する。島根県の丸山達也知事は「自家用車を使うという点で、全般的に確認が必要。われわれが準備している中で不足ポイントがないかを確かめたい」と述べた。
       (取材班)