岸田総理大臣の指示により、農業関連の最上位の法律である「食料・農業・農村基本法」の見直しが行われることになった。かつての農業基本法から現在の基本法に変わってから約20年が経過し、日本の農業の状況も外部環境も大きく様変わりしたため、それを踏まえた見直しが不可欠となっている。農林水産大臣からの諮問を踏まえて、食料・農業・農村政策審議会に基本法検証部会が新たに立ち上がり、学識経験者、農業生産者、食品企業、農業者団体などの委員による議論が始まっている(筆者も当該部会の委員に就任)。
基本法の見直しには複数の視点があるが、今回はその中から食料安全保障に焦点を当てる。今年は本コラムにおいて輸入小麦の価格高騰、肥料危機といった食料安全保障に関するテーマを取り上げることが多かった。気候変動による世界的な不作、新興国の経済発展と人口増加による需要急増という二つの長期トレンドに加えて、新型コロナウイルスによる社会・経済の混乱、ロシアのウクライナ侵攻、そして日本においては急激な円安と〝5重苦〟ともいえる状況であった。
食料安全保障に関してすでにさまざまな手が講じられているが、...
【今週の視点論点】国産飼料増産が 食料安全保障リスク低減の鍵 /日本総合研究所 創発戦略センターエクスパート 三輪泰史
残り1308文字(全文:1804文字)
続きを読むには会員登録が必要です
無料会員登録(山陰中央新報IDを取得)すると
付きのデジタル記事が月5本まで読める
ニュースレターで最新情報を受け取れる
プレゼント応募や、クーポンが利用できる