日中国交正常化50周年の本紙企画で取材した元朝日新聞政治部長の羽原清雅氏より、1冊の著書を紹介してもらった。
『津和野人 岸田蒔夫 その転変の生涯』。母方の祖先が津和野出身である氏が、昭和初期の津和野町で町長を務めた岸田(1874~1956年)について、変化に富んだ一生をまとめている。
2017年に出版された同書によると、津和野で生まれ育った岸田は松江の島根師範学校を卒業後、1901(明治34)年に上京。出版社で編集に携わったほか、中国・清からの留学生に軍人教育を施すため東京に作られた「振武学校」の教授を務めた。大正から昭和に入るとすぐに帰郷し、山陰中央新報社の前身の一つである山陰新聞社に入社。主筆も務めた。32(昭和7)年8月に津和野町長となる。
ここまででも移り変わりが激しいが、...