【益田】益田市内で木彫作家として活躍し、2012年11月に83歳で亡くなった寺井重彦(画号・龍月)さんが制作した神楽面33枚が、同市あけぼの東町のギャラリー茶房「ちいさなぎゃらりー・うつわ」で展示され、石見神楽を盛り上げる神や鬼、姫の多様な表情が来場者を楽しませている。30日まで。
鬼は怖さの中にもどことなく愛嬌(あいきょう)が感じられ、姫や神方の眉毛や目には繊細な筆遣いが見て取れる。
重彦さんは神楽好きで、益田の電電公社(現NTT)に務めていた昭和40年代に、職場仲間と神楽同好会を立ち上げた。近隣社中から舞い方の指導を受けて活動。その後、面は自身が手作りして経費を節約しようと、1970年ごろから独学で面作りを始めた。
キリの木を使い、丁寧に彫り上げた面は評判となり、他社中からの注文も舞い込むようになった。吉田公民館(益田市元町)彫刻クラブの講師も務めた。
遺作展は重彦さんの長男寺井親(ちかし)さん(68)=広島市西区=が没後10年を機に企画。親さんは「面は全て手に取っていただいて構わない。多くの人に見てほしい」と話している。午前9時~午後5時。入場無料。16日は休み。 (中山竜一)