鶏舎の扉を開けると、ニワトリたちが秋の陽光の中に出てきた。雑草や土をついばみ、羽を広げて地面すれすれを数メートル飛ぶものもいる。柵はないが、逃げはしない。

 山形県長井市。背後には朝日連峰が迫る田園地帯で、菅野芳秀(73)は息子と共に卵用のニワトリ約千羽を飼い、水田約5ヘクタールを耕す。菅野は「自分がニワトリに生まれ変わっても、これならいいかなと思える飼育環境にした」と胸を...