短歌 宮里勝子選

風つよき寒露の出雲路ひた走る駅伝選手の顔をゆがめて      出 雲 児玉 幸子

 【評】全日本大学選抜「出雲駅伝」を間近に見ている地元の作者ならではの細かい描 写がリアル。二十四節季の秋の季語「寒露」も効果的でテレビでは見えない息遣いが聞 こえてくる気配。言葉のあっせんがよい。

深山路の祠の前にさりげなく山栗三つ供えてありぬ        安 来 仙田 典夫

 【評】心にあかりが灯るような一首。器に入れるでもなく通りすがりに拾った栗を、お供えした人を想像しながら作...