2023年岸田政権と日本の行方
菅前首相の動向注視
山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が14、15日、浜田、益田各市であり、元TBS政治部長で流通経済大副学長の龍崎孝氏(62)が「2023年岸田政権と日本の行方」と題して講演。来春の統一地方選で自民党が大敗すれば岸田首相の退陣につながりかねないと指摘し「ポスト岸田」を巡り菅義偉前首相の動向を注視すべきだとの認識を示した。要旨を紹介する。
共同通信社の11月末の世論調査で「(内閣を)支持する」は33%で「支持しない」が51%だった。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題や死刑執行に絡む失言など、1カ月弱で3閣僚が辞任に追い込まれる「辞任ドミノ」が打撃を与えた。11日投開票の「保守王国」と呼ばれる茨城県の県議選で、自民党は立候補した45人のうち現職10人が落選。支持者の岸田政権離れの証左だろう。
岸田首相を引きずり落とすとしたら菅氏だろう。安倍晋三元首相の国葬での弔辞は異例の拍手を呼び、11月に都内で開かれた安倍氏の写真展は初日から真っ先に足を運び「後継は自分だ」と強くアピールした。
安倍派であり、旧統一教会問題で非難された萩生田光一政調会長も復調の兆しがある。菅氏が萩生田氏の地元・東京都八王子市の創価学会と交渉して関係を修復したからだ。菅氏周辺と安倍派、二階派が組むとなれば党内最大勢力となる。
岸田政権発足から1年以上経過し、独自色は薄れた。当初は格差を生んだとしてアベノミクスと一線を画す「所得倍増」を掲げたが、今では「資産所得倍増」に看板が変わった。安倍体制の継続に過ぎない。官僚は長年の安倍政権での「指示待ち」姿勢が常態化し、スピード感が落ちた。
統一地方選で自民党議員が大敗すれば、来年5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)後に退陣する「花道論」も浮上するだろう。
(宮廻裕樹)