小さく生まれた赤ちゃんとその家族が交流する「しまねリトルベビーサークル縁」が島根県内で初めて発足した。母親は自責の念や成長に不安を抱えるが、同じような悩みを持つ家族と出会う機会が少ない。つながりをつくろうと、2500グラム未満の低出生体重児の出産・育児を経験した女性2人が立ち上げた。 (山口春絵)
代表を務める吉藤明希さん(36)=出雲市西新町=の長男(7)は、804グラムで生まれた。妊娠高血圧症の影響でへその緒の血流が悪く、推定体重が平均の半分と思うように増えなかったことから、妊娠30週0日で、帝王切開で出産した。
生後すぐに新生児集中治療室(NICU)に入院。保育器にうつぶせに寝かされ、呼吸を補助する装置や栄養を送るチューブが取り付けられた。「自分の体調のせいだ」と申し訳なさを募らせた。
生後99日目、2100グラムで退院するまで面会に通った。大きな病気はなかったが、体の機能が未熟で発育や発達に心配が尽きない上、標準的な体重で生まれた子の母親から「重くて抱っこがつらい」と聞くと、成長や大変さの感じ方の違いに傷つくこともあった。
県内で、体重2500グラム未満で生まれる子の割合は、例年1割程度と少数だ。長男の入院中は感染管理のため、授乳室などで他の母親と交流する機会がなかった。退院後も早産した人が身近におらず、同じような境遇の人と話せるサークルを探したが、当時は見つからなかったという。
近年、小さく生まれた子の育児サークルが全国的に増えたことを知った。長男の小学校入学の節目も重なり、同僚の瀬崎観子(あきこ)さん(40)=同市斐川町三分市=を誘って2022年8月に「縁」を発足。島根にちなみ、子どもを通じた出会いや成長を支えてくれた医師らへの感謝を込めて名付けた。
毎月1回オンライン形式で交流会を開き、写真共有アプリ・インスタグラムで情報発信する。吉藤さんは「気軽に気持ちを共感し合い、情報交換する場があれば安心感につながる。家族の不安や心配が少しでも軽くなればいい」と願う。対面での交流会も開きたい考えで「一人で悩まず、いつでも連絡してほしい」と呼びかける。
問い合わせはインスタグラム@shimane.litllebaby_enライン@774oncbb