私は、大学の学部のころ、将来の夫となる人と共に、千葉県の山の中で野生ニホンザルの調査をしていた。1974年のことである。廃屋になった農家を借り、毎日サルの群れを追いかけ、行動と生態の研究を行った。

 電灯ぐらいはついたが、お風呂はないし、いろいろな面でかなり質素な暮らしだった。将来の夫は、崖から転げ落ちるなどしてけがをしたことがあったが、調査が打ち切りになるな...