将棋界の夢の対局が2月25、26の両日、大田市三瓶町の国民宿舎さんべ荘で開かれる。五冠を保持する藤井聡太王将(20)に羽生善治九段(52)が挑む王将戦7番勝負第5局。平成と令和の第一人者同士の激突とあって大盤解説会には申し込みが殺到する。さんべ荘は、対局中の2人が食する地元産品を使った「勝負飯」や「おやつ」の品書きを検討し、大田の認知度向上へ準備を進める。
王将戦は将棋の八大タイトル戦の一つ。藤井王将は初防衛、羽生九段は前人未到のタイトル100期が懸かる。主催のスポーツニッポン新聞社と交流があったさんべ荘では、2004年から過去5回、王将戦が開かれ、長くトップ戦線で戦った羽生九段は04、08、14年に来館している。
22年の王将戦はさんべ荘で第6局を予定したが、藤井王将の4連勝で実現せず、主催者が交流会を企画し、藤井王将は大田市民や子ども棋士と交流した。
異次元の強さを誇る藤井王将によって、将棋への注目度は日を追うごとに高まる。タイトル戦での食事は勝負の行方とともに注目の的で、選ばれたメニューは短時間で完売するなど「超人気商品」へと昇華する。
さんべ荘では勝負飯に館内のレストランで提供する「大田の大あなご」を使ったお重や、三瓶そばなど6種類ほどの品書きを検討。2日間で計4回あるおやつには、大田市内の老舗菓子店の逸品など8種類程度を考え、地元経済への波及効果を狙う。
さんべ荘館内である大盤解説会の申し込みは定員150人を既にオーバーし、抽選となる。
宇谷義弘代表取締役(76)は、相次ぐ問い合わせは県外からが多く、もっと大田市内での関心が高まることを期待。超一流同士の対局に加え、石見銀山を舞台にした「しろがねの葉」(千早茜著、新潮社)が直木賞作品となり、大田発の全国ニュースの連発は地元の魅力を伝える好機とみる。「こんな機会は二度とない。大田を挙げて盛り上げてほしい」と願う。
2月24日から3日間、全館貸し切りとなり宿泊できない。大盤解説会の申し込みは30日が締め切りで、詳細はさんべ荘のホームページで確認できる。王将戦は第2局を終え1勝1敗で、第3局は1月28日に金沢市で始まった。
(曽田元気)