ミュージシャンで映像クリエーターの桑原宙(そら)さん(49)=津和野町長福=が制作した映画「想像と循環」が、若手映画監督の輩出を目的とした映画祭「横濱インディペンデント・フィルム・フェスティバル」のドキュメンタリー部門で最優秀賞を受賞した。同町の木部地区の文化や自身が取り組んだ劇場再建の様子などを収めた記録映画で、思いを実現させるための行動の大切さを伝える。 (藤本ちあき)
横浜市でこのほどあった映画祭に出品された7部門394作品の中から、ドキュメンタリー部門の最優秀賞に選出された。
桑原さんは妻とともに「ソラトラベリング楽団」として県内外で活動している。新型コロナウイルス禍の影響でコンサートの機会が減り、生まれた時間で1960年代まで木部地区の文化の中枢だった「長野劇場」の再建に挑戦。手作業で改築し「木部の杜ワルツ座」として新たにオープンさせた。
作業を始めた2020年5月からの様子を記録。木部地区で全国初の集落営農法人を立ち上げた糸賀盛人氏と、Iターン農業者から津和野町議会議員となった田中海太郎氏のインタビューなどを盛り込む。イメージを設定し、地道な取り組みを継続してきた3者の共通点を浮き上がらせる。桑原さんは「想像したらまずは動くことが大切だと伝えたい」と話す。
現在、木部の杜ワルツ座を拠点にアートスクールやカフェを開くほかコンサートなどのイベントを催す。1月下旬には「木部の杜映画祭」を主催。今後も毎年開く考えで、桑原さんは「行動してみたらいつか物事は動く。これからもわくわくすることをやっていきたい」と意欲を燃やす。