3年ぶりに韓国を訪れた。新型コロナ禍前まで1年に1度は必ず訪れていたが、街はどんな風に変わったのだろうか。以前のようなにぎわいは再び戻っているのだろうか。日本からの旅行者になじみ深いソウルの繁華街・明洞や若者の街・弘大など最近、若者に人気のスポットを中心に街を歩いてみた。(米子総局報道部・岩垣梨花)
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(上)関係改善 風景で実感 コロナで一変 訪日も肯定
(下)山陰への誘客は好機 高付加価値化が勝負の鍵
◇観光客に人気の街・明洞
新型コロナ禍前の2019年、韓国には外国人観光客が年間1750万人が訪れていた。ソウル市の中心部に位置する明洞は、定番観光地として広く知られ、山陰両県で訪れたことがある人も多いのではないか。新型コロナ禍以降、観光客の激減で苦しむ明洞の街並みは、たびたびニュースでも取り上げられていた。
昨年12月下旬、冷たい風の吹く通りを歩いてみた。以前と変わりなく化粧品店や洋服店、飲食店などが並び、夜になればトッポッキや揚げ物などの屋台がどこからともなく集まってくる。

地区の建物オーナー300人でつくる「明洞観光特区協議会」の金(キム)仁洙(インス)事務局長によると、一時期は40%近くだった空室率はメインの大通りが20%未満、裏通りも30%程度まで回復し、客足も60%近く戻っているという。

通りを歩くと、日本人や中国人旅行客に代わり、以前はほとんど見かけることがなかった韓国人のカップルや家族連れとすれちがった。
一方で、裏通りに一歩入ると、空き店舗もいくつか散見され、新型コロナ禍前とは違う寂しい雰囲気もあった。メイン通りに集まる人の流れを裏通りにも増やそうと、商店主がイルミネーションを取り付けて活性化に努めているという。
◇屋台・広蔵市場(クァンジャンシジャン)

牛肉ユッケや、トッポッキ、オデンなどの屋台飯が有名な「広蔵市場」に足を運んだ。一歩踏み入れると、熱々の食べ物の湯気とアジュンマ(女性店主)の笑顔に出迎えられる。気温マイナス10度の極寒の下、厚着をした人が屋台の椅子に座って食事を楽しんでいて、新型コロナ前と変わらないにぎわいがあった。

◇若者に人気の街・弘大


弘大は近くに有名大学が点在し、若者が流行の洋服や化粧品、グルメを求めて集まる。今、韓国の若者に人気なのは「セルフ写真館」だ。日本のプリクラのような撮影ブースで、自分でシャッターを切りながら撮影できる施設。通り沿いにずらりと立ち並んでいた。
◇光化門のカフェ、書店


◇聖水洞の「カフェ通り」
カフェ通りとして若者に人気のスポットが聖水洞だ。通り沿いには「インスタ映え」しそうなおしゃれなカフェが立ち並ぶ。
地下鉄2号線の聖水駅近くにあるカフェ「大林倉庫」。重い扉を開けると、目に飛び込むのは木製の大きな動くオブジェ。古い倉庫を改装したこのカフェには現代アート作品が散りばめられ、訪れた人が写真撮影を楽しんでいた。

瓶入りのイチゴ牛乳やフルーツのケーキはどれも日本円で一つ千円前後。「けっこう高いなぁ」と思うが、それにもかかわらず、広い店内はほとんど満席でにぎわっていた。来店客が飲食だけではなく、この空間や体験に価値を感じていると感じた。
韓国では屋内のマスク着用が義務だったが、1月30日には解除となった。2月にプライベートで訪れた時は、マスクを外して街を歩く人が多くいた。
◇若者に人気の百貨店「ザ 現代ソウル」
2021年2月にオープンした汝矣島(ヨイド)の百貨店「ザ 現代ソウル」。地下2階地上6階で、ハイブランドから若者に人気の店舗まで約600店舗が軒を連ねる。
百貨店の顔になる1階には、有名な店が集まる。黒いスーツで決めた、端正な顔立ちの男性店員から、香水の香りを試す紙を笑顔で渡された。

店内はカップルや家族連れなど多くの買い物客でごった返していた。5階中央に設けられた広い庭園では人々がスマートフォンを片手に写真撮影をしていた。
3年ぶりに訪れた韓国は新しさの中にどこか懐かしさを感じる、不思議な街になっていた。市内の交通機関の標識やアナウンスには日本語表記が多く、言葉ができなくてもある程度、旅行は楽しめる。韓国に訪れたことがある人もまだ行ったことがない人も、今年はぜひ一度、訪れてみてはどうか。