中央省庁も導入を検討する対話型人工知能(AI)「チャットGPT」について、鳥取県の平井伸治知事が20日、職員の政策策定、議会答弁資料の作成、予算編成で使用を禁止すると発表した。導入の利点として業務効率化などが見込まれるが、「自治体の意思決定はAIではなく、地域で話し合い決定すべきだ」と強調。既に職員が業務で使うパソコンから利用できないように設定しているとした。
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チャットGPTはウェブ上の大量のデータを学習し、利用者の指示や質問に対する回答を導き出すのが特徴。平井知事は記者会見で、情報収集や社会構造に影響を与える技術革新を起こし得るとする一方、「機械が生み出した言葉だけで政策決定するのは民主主義の放棄だ」と指摘。「議会答弁で使うことは民主主義の自殺だ」とも述べ、県の政策決定に絡む業務での使用禁止を表明した。
県デジタル改革推進課によると、AIに質問する際に個人情報や県政の機密情報の漏えいが懸念され、2月中旬に職員の業務パソコンからアクセスできないよう制限。有識者の意見に基づき職員向けの利用ガイドラインを作成するとした。
一方、島根県の対応について、県情報システム推進課の小山美保課長は「現時点では何かの方針を決定している状況ではない」と話した。国内外で利点とともに課題も指摘される中、松江市の上定昭仁市長は20日の定例会見で「庁内での活用の在り方について検討を指示しているところだ」と述べた。
(岸本久瑠人、佐々木一全、高見維吹)