【奥出雲】松江藩の鉄師を務めた櫻井家の歴史と文化を紹介する島根県奥出雲町上阿井、可部屋集成館で、新緑と花鳥風月にまつわる収蔵品展が開かれている。江戸時代の広瀬藩お抱え絵師・堀江友聲(ゆうせい)の作品など約100点に来場者が見入っている。
堀江の作品「孔雀雌雄図」は、縦約140センチ、横160センチの大作。花と枝に止まり羽を休めるクジャクを緻密な筆遣いで描く。明治期に櫻井家に滞在した南画家・田能村直入は、四季で移り変わる可部屋周辺の風景を絵で表し、馬のいななきやつちの響きを詩にうたった。
六歌仙の和歌入りの杯や野遊びに使った野弁当、当主夫人の晴れ着など多彩な収蔵品が並ぶ。
尾方豊専門員(69)は「櫻井家住宅や庭園だけでなく周囲の景観を含めて可部屋。四季折々の風景を作品からも楽しんでほしい」と話した。
6月中旬まで。集成館と櫻井家住宅・庭園の共通券は、大人千円、大学・高校生650円。小中学生450円。月曜休館。
(狩野樹理)