

劇場版の最新映画が大ヒット中の人気漫画「名探偵コナン」の原画などを展示する鳥取県北栄町の「青山剛昌ふるさと館」が、4年後の2027年に移転新築オープンすることが決まった。国内外から多くの来館者が訪れる一方、建物が手狭で所蔵品の展示や収蔵スペースが不足しており、町が近くの広場に延べ床面積が現在の3倍超となる新施設を整備する。町によると、開館後5年以内に総来館者数100万人を目指すという。
名探偵コナンの原作者・青山剛昌さんの出身地にあるふるさと館は2007年3月に開館。「コナン館」とも呼ばれ、来館者数は15年度に年間10万人を超え、19年度に過去最多の21万9811人に達した。
一方、現在の建物は約30年前に旧大栄町が建てた歴史文化学習館を転用したもので、連休時などに混雑が頻発。青山さん直筆の貴重な原画を保管する収蔵機能も十分でなく、バリアフリー設備の整備も課題となっていた。
このため、町が20年に移転新築の検討に着手。町民や有識者などでつくる再整備検討会が16日、新たな施設の基本計画をまとめた。
計画によると、新施設の延べ床面積は約3千平方メートルで、現施設の約700メートル南にある町有の「出会いの広場」に建設。漫画に登場する街をイメージした「コナンの家 米花(べいか)商店街」が一角にあるJR由良駅から徒歩10分の場所で、常設展示室、収蔵エリアにそれぞれ500平方メートルを確保する。
イベントスペースやグッズ売り場、飲食店などが入るエリアは1100平方メートル、エントランスホールや事務所エリアは900平方メートルを想定する。整備費は約28億1千万円を見込み、26年に着工する予定という。
「名探偵コナン」は若い女性を中心に根強い人気があり、26作目となる劇場版のアニメ映画「名探偵コナン 黒鉄(くろがね)の魚影(サブマリン)」は今月、国内興行収入が100億円を突破。海外にも熱狂的ファンがおり、整備検討会の蓑豊会長(兵庫県立美術館名誉館長)は「ちょうどよいタイミングで計画ができた。町民だけでなく、全国、海外の人に愛され、コナンが生まれた町を誇りに思える施設になってほしい」と期待を寄せた。 (井上誉文)