中国への返還発表後、初の開園日を迎えた双子のジャイアントパンダ、雄シャオシャオ∥16日、東京・上野動物園
中国への返還発表後、初の開園日を迎えた双子のジャイアントパンダ、雄シャオシャオ∥16日、東京・上野動物園

 日本からジャイアントパンダがいなくなる。中国から貸与されている東京・上野動物園の双子シャオシャオとレイレイの返還が決まり、来月25日が最後の観覧日。仕事場にパンダのグッズを置いて癒やしを得ている身としては複雑な心境だ。

 初のパンダは日中国交正常化を記念し、1972年に上野動物園に来たランランとカンカン。ブームに沸いたがランランは79年9月、カンカンも翌年6月に病死した。2頭に思い出す児童図書がある。『みんなのなみだ おかあさんにあげて』(1984年出版)。

 詩を書く授業が苦手な小学1年のくみ子の母親が急に倒れて亡くなる。同じ日にランランも世を去った。夕飯を買いに行った店でも、学校でもランランの話で持ち切り。残されたカンカンもかわいそうだと級友の多くが泣いている。その日、詩を書く授業でくみ子は書いた。<わたしには、ランランよりおかあさんのほうがだいじだから、みんなのなみだ おかあさんにもあげて>。

 悲しみを1人で受け止める少女の切ない物語。小学生の時に深く心に残った一冊を読み返すと「おとうさん」や「先生」の機微も見え、より涙腺が緩む。

 さて今の日中関係では新たなパンダの貸与は不透明な状況だ。2国間の冷え込みは、観光や芸能など多方面に影響が出ており泣きたい人は多いだろう。パンダファンとしては日本でいつかまた会える日にうれし涙を流そう。(衣)