血液の保管庫を確認する槙原研副院長=大田市大田町、市立病院
血液の保管庫を確認する槙原研副院長=大田市大田町、市立病院

 19日開幕の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、医療関係者が神経をとがらせている。中国四国地方の血液製剤の拠点が、広島市内のサミット主会場周辺で交通規制区域内にあり、輸送が滞る懸念があるためだ。関係者は手術への備えや献血の呼びかけに腐心する。 (曽田元気)

 献血から作られる血液製剤の管理や供給の拠点となるのは、日本赤十字社中四国ブロック血液センター(広島市)。広域での運営体制を敷き、中四国各地の献血で集まった血液はブロックセンターで調製し、需要に応じて日々供給。必要量は各地の血液センターや供給出張所で保管される。

 物流の停滞を懸念するのは大田市立病院の槙原研副院長。大量輸血が必要な緊急手術など有事を想定し、サミット期間中に予定する手術は患者自身が事前に採取した血をためておく「自己血輸血」で対応する。

 ストックを通常より増やせば廃棄も増える可能性があるだけに、確保量にも頭を悩ませる。「血液がない状況では医療が成り立たなくなる。何も起きないことを祈りたい」と話す。

 血液には有効期限がある。特に血小板は採血後4日と短く、スムーズな供給が大切になる。ブロック血液センターによると、各地への輸送は山陽自動車道の迂回(うかい)路となる中国自動車道などを使う。ただ、広島市街地は大規模な交通規制が敷かれるだけに、担当者は「(市郊外に抜けるまで)どのくらい時間がかかるか見通せない」と明かす。

 サミット会場周辺にある広島市内の献血ルームは期間中は体制を縮小。人口が多い広島で献血量が減る分、島根など他県で確保して全体量を維持する。島根県赤十字血液センター献血推進課の松田清課長は、サミットの影響の大きさに驚きつつ「これまでの献血者に再度協力を依頼している。広島以外で量をカバーしたい」と話した。