刀を奉納する月山貞利さん=島根県海士町海士、隠岐神社
刀を奉納する月山貞利さん=島根県海士町海士、隠岐神社

 刀剣を愛し、秀でた刀匠を御番鍛冶として仕えさせたと伝わる後鳥羽上皇にちなんだ刀剣奉納式が20日、島根県海士町海士の隠岐神社であった。奈良県指定無形文化財の刀匠、月山貞利さん(77)=奈良県桜井市=が、1年半をかけて心血を注いで鍛えた刀を神前に届けた。

 後鳥羽上皇を祭る隠岐神社には御番鍛冶の言い伝えを基に1939年の神社創建時、名匠の日本刀10振りが奉納された。この歴史を知った英国出身の刀剣研究家ポール・マーティンさん(57)=東京都=が、現代の刀匠による力作の数々を神社に奉納し、海士町を日本刀の聖地にしようと「新御番鍛冶プロジェクト」を2021年に発足させた。

 クラウドファンディングで約720万円を集め、21年10月に境内で月山さんによる打ち初め式を催した。

 20日の春の例祭に合わせて境内に関係者や町民約300人が集まる中、月山さんとマーティンさんが「後鳥羽天皇遷幸八百年記念刀」を神前に奉納した。

 月山さんは「歴史に残る仕事に指名いただき、無事に奉納できたことを大変名誉に思う」と話し、マーティンさんは「後鳥羽さんは喜んでいると思う。刀の伝統を守るため今後もできるだけ作りたい」と、新たな刀の奉納に向け意気込んだ。

        (鎌田剛)