目の前で土下座する後輩は、小刻みに体を震わせていた。「すみません。すみません」。任せていた支店の仕事を放り出し、遊び歩いていたことを認めた。レジからは売上金もなくなっていた。

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 カレー店の店主荻野善弘(44)は、とがめるよりも「なぜ気付いてやれなかったのか」と悔やんだ。仕事がうまくいかないのなら、どうして相談してくれなかったのか。

 「あなたのことが怖かった」。後輩は小さな声を振り絞った。弟のようにかわいがってきた相手から突き付けられた言葉は、あまりに...