多彩なデザインの藍染めの型紙を紹介する隅田正三館長=浜田市金城町波佐、金城歴史民俗資料館
多彩なデザインの藍染めの型紙を紹介する隅田正三館長=浜田市金城町波佐、金城歴史民俗資料館

 【浜田】江戸末期から明治中期に使われたとされる藍染めの型紙を紹介する企画展が浜田市金城町波佐の金城歴史民俗資料館で開かれている。植物や図形などをあしらった職人の技が伝わる70点が目を引く。12月24日まで。

 型紙は藍染めで模様を付ける際に使う。当時の東谷村(現・金城町長田)で染め物を営んだ室(むろ)屋(や)谷(だに)源(げん)右衛門(えもん)が所有し、1973年に子孫が同館の指定管理を担う地元有志でつくる「西中国山地民具を守る会」に492点を寄贈した。

 型紙は3~4枚の薄い和紙を、柿渋を使って重ねて貼り、長期の藍染めに耐えられるよう強靱(きょうじん)な紙質に仕上げる。型紙にある模様は一度に7~8枚の型紙を重ね、丸や直線、花びらの柄に合わせて数百本の小刀を駆使しながら彫って作る。

 会場には菊の花や中心から外に広がる渦模様のほか、傘を差すカエルの絵柄といった手彫りとは思えない寸分の狂いもない多彩なデザインが並ぶ。

 隅田正三館長(81)は「寄贈されなかったらおそらく焼却処分されていた。これだけ型紙が残るのは貴重」と話した。

 開館時間は土、日曜日の午前9時~午後5時。平日は予約が必要。問い合わせは隅田館長、電話090(4697)2818。(宮廻裕樹)