無料で貸し出していたパルスオキシメーター
無料で貸し出していたパルスオキシメーター

 新型コロナウイルスに感染した自宅療養者に各保健所などが無料で貸し出していた「パルスオキシメーター」について、山陰両県で4千個が未返却であることが2日、島根、鳥取両県などへの取材で分かった。関係機関が返却を求めている。

 パルスオキシメーターは皮膚を通して、動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定する機器。新型コロナによる肺炎など容態の変化を早期に把握できるとして、国の全額負担で都道府県などが購入し、自宅療養者に、無料で貸し出していた。

 ところが新型コロナの感染症法上の位置付けが5類移行となり、3カ月近くが経過しても一部で返却が滞っている。島根県が購入した6550個のうち2600個が未返却。鳥取では、県や鳥取市保健所が保有する1万1千個のうち1400個が未返却だという。

 島根は各保健所への持ち込みによる返却を、鳥取は貸し出しの際にレターパックを同封するなどして返却を促している。5類移行後、両県はさらに文書や電話で求めているが、未返却が続く。

 理由は紛失が最も多く、「壊した」、「基礎疾患のために保有していたい」といった返答もあるという。

 島根県はパルスオキシメーターを1個当たり6千~7千円で購入しており、県感染症対策室の田原研司室長は「税金で購入しており、今後も感染が広がったり新たな感染症が出てくる可能性もある。返却いただきたい」としている。

(古瀬弘治)