自転車の違反摘発件数の推移
自転車の違反摘発件数の推移
交通反則切符(青切符)の流れ
交通反則切符(青切符)の流れ
自転車の違反摘発件数の推移
交通反則切符(青切符)の流れ

 警察庁は3日、自転車の交通違反に対し、交通反則切符(青切符)の交付を可能にする制度変更を目指す方針を明らかにした。「信号無視」などの違反をした利用者に反則金の納付を通告することができるようになる。違反抑止を図るのが狙い。担当者は「対象は悪質で危険な違反が念頭にある」と説明。有識者検討会で今月から議論を始め、悪質性の判断を含め公正な取り締まりの在り方を議論する。 

 導入には道交法改正が必要。警察庁は年内にも提言を受け取り、来年の通常国会への法案提出を視野に準備を進める。健康志向の高まりや新型コロナウイルス禍で「密」を避ける傾向が強まり、自転車へのニーズは増している。同時に違反の摘発件数も増えており、取り締まりの強化が課題となっていた。検討会では、子どもの取り扱いなども議論する。

 谷公一国家公安委員長は3日の記者会見で「交通ルールを無視する自転車利用者には厳しい批判が寄せられており、良好な交通秩序を実現することが重要だ」と話した。

 現行の取り締まりでは「信号無視」や「指定場所一時不停止」などでも、悪質な場合は刑事処分の対象となる交通切符(赤切符)を交付しているが、起訴を見据えた捜査が必要で時間がかかっていた。軽微な違反には安全教育の一環としてサッカーのイエローカードのような「指導警告票」を渡すなどしてきたが、実効性には限界があった。

 青切符は、警察が違反行為を現認するなどした違反者に対し行政手続きとして反則金の納付を通告し、違反者が納付すれば起訴されず、期間内に納付しなければ刑事手続きが進む制度。16歳以上に利用が限定されている電動キックボードも7月1日施行の改正道交法で青切符の対象とされた。

 警察庁によると、自転車による交通違反の摘発件数は、2013年は7193件だったが、22年は2万4549件と約3・4倍に増加。22年に起きた自転車が当事者の死亡・重傷事故7107件のうち、約7割で自転車側にも違反があった。

 検討会の第1回は30日の予定。犯罪被害者学や交通心理学の専門家の他、日本PTA全国協議会の幹部なども加わる。