クリーム地に赤色のラインが入った「国鉄色」のやくもを撮影するツアー参加者=出雲市東神西町、JR西日本後藤総合車両所出雲支所
クリーム地に赤色のラインが入った「国鉄色」のやくもを撮影するツアー参加者=出雲市東神西町、JR西日本後藤総合車両所出雲支所

 国鉄時代から活躍するJR西日本の伯備、山陰両線の特急「やくも」の鉄道車両を撮影するツアーが人気を呼んでいる。出雲市内の車庫に停車中の車両を撮影したり、運転席を見学したりする内容で、県外客を中心に10月までの開催日全てが満員となる盛況ぶりだ。地元の関係者らは全国的に希少な車両をツアーの目玉として生かし、観光客誘致につなげる。 

 やくもは1980年代に製造された車両(381系)を利用する。定期運行するJR列車では唯一、国鉄時代の特急電車を使用するが、2024年度から新型車両に置き換え引退することが決まっている。これを惜しむ鉄道ファンの要請で、22年春にクリーム色に赤色のラインを引いた国鉄色、23年冬には1994年から2006年に運行した紫色の「スーパーやくも」の車両も復刻した。

 ツアーはJR西日本山陰支社(米子市弥生町)と山陰観光連盟(同)、出雲観光協会(出雲市駅南町1丁目)が共催し、1月から毎月1回程度実施している。

 JRを往復利用して移動し、往路か復路のいずれかでやくもに乗車して出雲市内に宿泊する。出雲市駅(出雲市駅北町)に集合後、後藤総合車両所出雲支所(同市東神西町)に移動し、約1時間半、国鉄色の車両を撮影する。定員20人で、参加費は3千円となっている。

 ツアーでは、381系車両の最前部のヘッドマークを入れ替える撮影サービスを行う。鉄道ファンになじみ深い「くろしお」「こうのとり」といった20種類のヘッドマークを代わる代わる表示し、参加者は思い思いにシャッターを切る。ツアーに参加した大阪市在住の50代男性は「381系は関西圏でも活躍した懐かしい車両で、姿を見ることができ感動した」と笑顔をみせた。

 次回開催日の8月24日、9月14日、10月19日はいずれも定員に達し、キャンセル待ちの状態。JR西山陰営業部の足立智観光開発室長は「今後もさまざまなイベントを企画する予定で、期待してほしい」とした。

 出雲観光協会の斉藤謙一次長は「JRと連携しながら、貴重な鉄道車両を生かして全国から参加者が訪れるツアーに育てたい」と話した。(石倉俊直)