「VIVANT」島根ロケに迫る(1)
7月に始まったTBS系日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(毎週日曜午後9時)が「ドラマ満足度」(オリコン集計)で首位を独走している。放映前に一切ドラマの内容が明かされないことで話題になったが、内容でも実力派俳優の演技や迫力のアクションで期待に応えている。実は「島根の美しい映像が必要だった」という福澤克雄監督の強い思いから、県内でもロケがあり、幾つもの重要なシーンを担っている。
その一つとして欠かせないのが、たたら製鉄の歴史を伝える櫻井家住宅(島根県奥出雲町上阿井)だ。「製鉄」は主人公・乃木のルーツをたどる上でも重要なカギになるという。ロケ地や撮影の様子をシリーズで紹介する。初回から3回にわたり、櫻井家住宅にスポットを当てる。(Sデジ編集部・鹿島波子)
【「VIVANT」島根ロケに迫る(2)】ドラマ「VIVANT」乃木家と奥出雲町の櫻井家 つながりと島根ロケの裏側(Sデジオリジナル記事)
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▽国指定重要文化財「櫻井家住宅」と福澤監督とのつながり
櫻井家は、江戸時代から松江藩に製鉄を認められ、鉄師頭取(てっしとうどり、製鉄業者のトップ)を務めた。日本刀の原料になった良質の玉鋼(たまはがね)を生産。島根県の中でも中国山脈に近い山奥にあるのは、地元で良質の砂鉄が取れ、燃料となる広葉樹が容易に手に入ったためだ。1644年にたたら操業を始め、現存する櫻井家住宅の主屋は1738年に建てられ、約300年の歴史を刻む。2003年には主屋をはじめ9棟が、国の重要文化財に指定された。

ドラマの福澤克雄監督とは縁が深い。福澤氏が初めて奥出雲町を訪れたのは、中居正広さんや渡辺謙さんらが出演した同じTBS系ドラマの「砂の器」(2004年)のロケ。その時に、櫻井家や「たたら製鉄」の歴史を知り、櫻井家住宅でも撮影を行った。
そこから縁が生まれ、福澤監督は...