通常診療の合間に新型コロナワクチンを接種する診療所の医師(右)。問診や接種、接種後の経過観察など必要な対応は多く、これ以上の接種数増は難しい=松江市春日町、たにむら内科クリニック
通常診療の合間に新型コロナワクチンを接種する診療所の医師(右)。問診や接種、接種後の経過観察など必要な対応は多く、これ以上の接種数増は難しい=松江市春日町、たにむら内科クリニック
通常診療の合間に新型コロナワクチンを接種する診療所の医師(右)。問診や接種、接種後の経過観察など必要な対応は多く、これ以上の接種数増は難しい=松江市春日町、たにむら内科クリニック

 高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種で、山陰両県の市部の大半が1回目の接種率10~20%台にとどまることが3日、山陰中央新報社の調べで分かった。政府が掲げる7月末の接種完了へ、前倒しを模索するが、人口が多いだけに既に個別、集団接種ともに手いっぱい。体調や持病を確認する「問診医」の不足が顕在化してきた。一般接種も控える中、事務作業の効率化や人材支援など、国や県に側面支援を望む声が上がっている。 (取材班)

 山陰中央新報社が両県38市町村に聞き取ったところ12市の1回目接種率は最も高い江津市が44・6%だが9市は10~20%台。14日に接種が本格化する益田市は3・0%と最も低い。

 松江市は10・0%。2日に個別接種を始めた、たにむら内科クリニック(松江市春日町)は通常業務をこなしながら6人(ワクチン1瓶分)の対応に1時間半かかった。受け入れを増やすには1瓶単位で検討が必要。キャンセルが出れば代わりを探す必要がある。谷村隆志医師は「事務手続きや通常業務の負担とのバランスに悩む」という。

 集団接種も、体制強化には難題がある。松江市新型コロナウイルスワクチン接種実施本部の持田健二事務局次長は「問診医師の確保がネック」と明かす。

 健康状態を聞き取り、判断する問診は医師にしかできず人材は限られる。休日の集団接種は平日に開業する診療所に力を借りており、さらに増やすには、現場を退いた医師らの掘り起こしが必要になる。

 鳥取市は当初8月中旬とした接種完了計画を前倒しした。市保健医療課の浜田寿之課長補佐は「7月中の接種数が大幅に増えるため会場や人繰りなど体制を固めるのが難しい」と話す。

 政府は企業や大学も接種会場にするといった新たな対策を次々打ち出すが、島根県内のある自治体担当者は「国は現場の要望に応えず接種要請しかしてこない」とため息をつく。

 島根県医師会の森本紀彦会長は、問診医の確保が今後も重くのしかかるとみる。医師が既に土日返上で現場に当たったり、問診以外の事務や打ち手に回ったりしている現状を踏まえ「問診に傾注できるよう、その他の事務や作業を軽減する対策が必要だ」と指摘。国や県の具体的なサポートが不可欠だとした。