私都川の流れに削り取られ、崩落した県道麻生国府線=16日午後0時24分、鳥取県八頭町福地
私都川の流れに削り取られ、崩落した県道麻生国府線=16日午後0時24分、鳥取県八頭町福地
私都川の流れに削り取られ、崩落した県道麻生国府線=16日午後0時24分、鳥取県八頭町福地

 日本海に抜けて北上した台風7号は16日、広い範囲で影響をもたらし、各地に被害の爪痕を残した。鳥取県内では、東部を中心に最大857世帯(1820人)が孤立状態となり、16日午後6時半現在で78世帯(139人)が解消していない。島根県内で目立った被害は確認されていない。鳥取地方気象台は大雨で地盤が緩んでいるとして土砂災害への厳重な警戒を呼びかけている。

 同気象台によると、降り始め(14日正午)から16日午前5時までの降水量は佐治(鳥取市)で519・5ミリと8月の1カ月分雨量の3倍近くに迫り、鹿野(同)488・5ミリ、智頭(智頭町)317ミリなど鳥取県東部を中心に大雨を記録。県は鳥取市、三朝町に加え15日中に八頭町にも災害救助法を適用したと発表した。

 孤立状態が続くのは、鳥取市の佐治町内3集落など計6集落と八頭町内の1集落。孤立状態の大半を占めた佐治町では、16日午後5時45分に県道230号の高山-津無間の全面通行止めが解除されたため、同6時半までに673世帯(1485人)が解消された。

 鳥取市などによると、佐治町内で孤立状態だった津野集落の集会所に避難していた80代女性が、食べ物を喉に詰まらせ15日に搬送され、その後死亡が確認された。災害関連死に当たるかどうかについて、市は「確認中」としている。

 浸水などの住宅被害は倉吉、智頭、三朝の3市町で21棟。土砂崩れなどによる断水は鳥取市、八頭町で計540戸、停電は6市町で最大約6270戸生じた。

 交通機関は16日、JR西日本中国統括本部が鳥取県内を走る特急を運休、部分運休したほか県内の因美線、山陰線の大部分を終日運休した。空の便で欠航や大幅な遅れはなかった。

 鳥取県は対策会議を開き、被害状況を共有。早期の復旧に向け、補正予算案の編成を進めるとした。

 (取材班)