島根県境に接する広島県庄原市西城町のNPO法人西城町観光協会(山口和男会長)が、かつて町内の比婆山で目撃され、現在では市のキャラクターとして親しまれている謎の類人猿・ヒバゴンの愛好家でつくる「ヒバゴン探検隊」を立ち上げた。勉強会や目撃地ツアーといったイベント「調査活動」を定期的に開催するという。町の来訪者を増やし、利用低迷が続くJR木次、芸備両線の振興を目指すという趣旨に共感し、記者も会員になった。
(広島支社・新藤正春)
ヒバゴンは、1970年代前半、旧西城町を中心に現庄原市北部で目撃が相次いだ未確認生物。旧西城町には報道機関や大学探検部が押し寄せ、町役場は「類人猿相談係」を新設し、対応した逸話が残る。「出没」から5年ほどで目撃情報が途絶え、実態は謎のままだ。
近年はキャラクターとして庄原市を案内する看板に描かれるなど、町おこしで活躍している。
探検隊の発足は今年5月。庄原署の署長室に長年保管されていた「ヒバゴンの足跡」から作られたとされる石こうが、JR芸備線の備後西城駅内にある観光協会に寄贈されたことがきっかけだ。駅では一般公開も始まり、再びヒバゴンが脚光を浴びることを期待し、立ち上げた。
会員は、年会費5千円を払えば誰でもなれる。特典として、調査活動に参加できるほか、100枚千円で隊員としての名刺も作ることができる。記者も会員になった。これまでに中国地方のほか、関東や近畿などから約50人の入隊申し込みがあったという。
活動のキックオフとして、9月9日に勉強会を観光協会で開く。旧西城町役場の類人猿相談係だった恵木剋行さん(79)らが講師を務め、当時のエピソードなどを語る。勉強会の模様は録画し、後日配信する予定だ。来春にはヒバゴンの目撃地を巡るツアーも計画する。
恵木さんは「ヒバゴンは西城のシンボルとして愛されている。探検隊の活動を通して、若い世代にも知ってほしい」と話した。
記者も、勉強会や調査活動に参加したい。地元の旧西城町はJR芸備線と木次線が交わる備後落合駅のある町。これまでも駅を巡るスタンプラリーにも「ヒバゴン」のスタンプが登場し、盛り上げに一役買った。秘境に現れた謎の生物を探す旅に、ローカル線を使えば、より雰囲気も盛り上がりそうだ。両線の「救世主」となり得るか。ヒバゴンの大活躍に期待したい。
入隊希望や問い合わせは観光協会、電話0824(82)2727。
しんどう・まさはる
2016年4月入社。編集局地域報道部、出雲総局報道部を経て2021年3月から広島支社。訪ね歩くのは庄原市、三次市、北広島町、安芸太田町など島根・広島の県境ばかり。岡山・鳥取も開拓したい。
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山陰突撃取材は普段、地域や役所、警察署、法廷、野山などを駆け回り、取材している記者が、森羅万象をテーマに、旬な話題を掘り下げて詳しくリポートしていきます。













