今年は7月の終わりに、東京でも、私の村の家がある群馬でも、ツクツクボウシの鳴き声が聞こえた。ツクツクボウシは夏の終わりを告げるセミである。残暑が続いても、秋が近づいていることを教えてくれる。
ところが8月は、暑い夏が続いている。秋の気配が近づいているどころではない。それなのに8月中旬には、福島で、おなかを真っ赤に染めたアキアカネに出会った。赤トンボも、秋が近いと感じとっているのだろうか。
自然界の生き物たちは、天気の長期、短期予想の名人だった。春に蜂の巣のつくり方をみていると、夏の天気が予想できた。渓流に暮らすヤマメやイワナといった魚は、川が増水する前に小石を飲んで、流されないように身体を重くする。雨を予想しているのではなく、豪雨を予想しているのである。だから、川がさほど増水しない雨が降る前には、こんな行動はとらない。
だが、この20年くらいは、自然界の生き物たちも長期予想を間違えることが多くなった。彼らも予想を外すほどに、異常気象の続く時代が始まっているのだろう。
第2次大戦が終わり、...