出雲市松寄下町の主婦、日下みゆきさん(58)が小児がんを患って2014年10月に亡くなった一人息子の智貴(ともき)さん(享年17歳)との歩みをつづった書籍「君がくれた光を紡いで」を自費出版した。病気になっても弱音は吐かず、前だけを向いて生き抜いた智貴さんの様子や最期まで寄り添い続けた家族の絆を記し、人との出会いが子どもの成長につながることを説いた。

 智貴さんは卓球が好きで小学3年生から地元の卓球教室に通った。競技にのめり込み、中学は卓球ができる環境が整った私学に進学した。ところが、入学して迎えた最初の夏、左大腿(だいたい)骨に骨肉腫が見つかった。

 闘病生活は4年半続いたが、明るく振る舞い、毎日を一生懸命過ごした。生きる原動力の一つになったと考えられるのが「人との出会い」だった。病院の先生や院内学級の先生、車椅子卓球のプロ選手ら…。さまざまな体験を通じて自然と思考力や感受性が磨かれていった。作文用紙1枚に考えを書くのも難しかったのが、何枚も書けるほどに成長したという。

 智貴さんが亡くなり、...