古代の祝詞(のりと)の内容は、平安時代、10世紀に編まれた律令の施行細則である『延喜式(えんぎしき)』巻八(「延喜式祝詞」)に詳しい。同巻には9世紀初頭以前、内容によっては、奈良・飛鳥時代にさかのぼる国家的な祭祀(さいし)で奏上する27篇が載る。

 多くは、その年の稲や穀物の豊作を祈る2月の「祈年(としごひの)祭(まつり)」、11月に豊作感謝の新嘗(にいなめ)祭に奏上する「大嘗(おほにへの)祭(まつり)」、6月と12月に宮城(きゅうじょう)(皇居)の防火を祈る「鎮火祭(ひしづめのま...