評判の映画「オッペンハイマー」を見た。マッカーシズム(共産主義者弾圧)渦中の米国で、「原爆の父」である科学者の事実上の公職追放を決定した1954年の保安聴聞会でのやりとりを軸に、彼の人生とその中核を占めた原爆開発の物語と、それがもたらした帰結への苦悩が描かれる。

 オッペンハイマーは戦後、核兵器の国際管理を呼びかけ水爆開発に反対するなど、核軍縮への声を上げた科学者の一...