おりがみカップの特徴を説明する湯川惣一郎社長=松江市殿町、島根県庁
おりがみカップの特徴を説明する湯川惣一郎社長=松江市殿町、島根県庁

 開くと皿になる紙容器「おりがみカップ」を製造するシンメイ(横浜市)が、島根工場を雲南市木次町山方に移転、拡張する。新型コロナウイルス禍のテークアウト需要で、おりがみカップの受注が急増しており、島根を2カ所目の製造拠点として増産体制を構築する。

 おりがみカップは、円形の紙をジャバラに折って作った容器で、開けば皿として使える。

 ユニークさと環境に優しい紙製という点が支持され、大手外食チェーン店などからテークアウト用に採用が急増。コロナ以前は横浜工場の1ラインで製造していたが、受注増を受けて3ラインの24時間稼働で月30~50万個に増産している。月100万円だった同商品の売り上げは同1千万円まで伸びた。

 島根工場は松江市宍道町佐々布にある工場の一部(千平方メートル)を賃借し、2015年9月から総菜や冷凍食品を入れる紙やプラスチックの容器を製造してきた。

 おりがみカップの製造ライン導入に当たり、雲南市の空き工場(鉄骨平屋約1700平方メートル)を取得。改修や設備費を含め2億6400万円を投じた。月10万個の製造計画で、14日に操業を始める。従来製品の製造も続ける。

 工場従業員は42人で今後3年間で6人の新規雇用を予定し、島根県から立地計画の認定を受けた。県は3300万円、雲南市は2100万円を助成する。

 8日に県、雲南市と調印した湯川惣一郎社長は「ゆくゆくは島根工場をおりがみカップのメイン工場としたい」と意気込んだ。

 同社の20年8月期の売上高は27億6千万円。おりがみカップの売上比率を現状の3%から10%まで引き上げる目標を掲げている。(平井優香)