インターネットで商品を売買できるヤフーオークションやメルカリで、山陰両県選出の国会議員や自治体の元首長の名刺が出品されている。細田博之衆院議長(島根1区)をはじめ、著名政治家の名刺も売買されており、知名度によって金額が異なる。政治家と面識があると見せかけるために悪用される可能性があり、専門家が警鐘を鳴らす。 (曽田元気、原田准吏)
ヤフーオークションで確認できたのは細田議長の名刺で、6千円で出品されている。メルカリでは赤沢亮正衆院議員(鳥取2区)、舞立昇治参院議員(鳥取・島根合区選挙区)がともに1999円で出品され、島根県内にある市町の元首長の名刺もあった。
サイト内には「コレクションにいかがでしょうか」と出品者の文言も添えられていた。こうした実態に舞立参院議員は「青天のへきれきだ。コメントのしようがない」と目を丸くした。
過去には、菅義偉前首相の名刺が相次いで出品され、1万円以上の高額で売買されるなど話題になった。
メルカリの運営会社は、個別の出品物に対する対応方針の詳細はコメントを控えるとした上で、名刺は「現状、出品禁止物ではないが、個人のメールアドレスや電話番号などの個人情報が記載されているものは削除している」とした。
立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は、日本社会は権威に弱いとし、商談などで政治家の名刺を見せて相手の信頼を高め、取引に悪用する懸念があると指摘。「だましのテクニックの道具になり得る。名刺を見せられた側はうのみにしないのが大事だ」と呼びかけた。