島根県東部に住み続けながら石見神楽を愛してやまない男性が29日、神楽面などを販売する専門店「憩処 神楽道」を松江市殿町にオープンする。専門店は県東部で初めてで「現地に足を運んでもらうきっかけにしたい」と準備を進める。
出雲市出身で松江市東津田町の自営業松山司さん(30)。小学生の時に都治社中(江津市都治町)の迫力ある舞に魅了されて以来、とりこになった。秋祭りの時期は毎週欠かさず県西部に通って鑑賞する。
松江で神楽の魅力を伝えようと昨年、都治社中を招いた自主公演を企画したが、直前に新型コロナの影響で中止になった。1年たっても熱は冷めず「石見神楽を広めるために何かしたい」と再び立ち上がった。
店内には、神楽で使う面や笛、刀、日本石見神楽大会のDVDが並ぶ。衣装に使われる金襴の生地で作ったトートバッグや、親しみのない人も手に取りやすいステッカーも販売する。
「小さなスペースでもわくわくするお店日本一を目指す」と内装はすべて松山さんの手作り。天井には、四角に組んだ竹に赤、緑、白の紙計150枚を貼り付けて、舞台で使う色鮮やかな天蓋(てんがい)を再現した。
現地に足を運んでもらうのが目標。「神楽が大好きという気持ちだけでやっている。店を懸け橋にしたい」と熱を込める。今後は子どもを対象にした笛制作のワークショップも開き、伝統継承に力を入れる。
営業は土日祝日の午前10時~午後4時。
(小引久実)