▽短歌 宮里勝子選

台風の連れて来りし雨止みて勝鬨のごと法師蝉鳴く        出 雲 岩本ひろこ

  【評】勝鬨(かちどき)のごとの例えが言い得て妙。台風の通過したあとの安堵(あんど)感と蝉(せみ)の鳴き声が一体化している。法師セミが鳴き始めると夏の終わりも遠くないと思う気持ちがしみ出る。

撫でてみて押して破って覗いてる障子と出会ったひ孫の仕事   隠岐の島 村上 篤子

  【評】ひ孫さんは2歳くらいでしょうか、見るもの全てに興味津々で紙の手ざわりを確かめて、破いた穴から覗...