浜田市金城町久佐の住民でつくる地芝居団体「山陰久佐松竹座」の復活30周年記念公演が12日、地元の久佐まちづくりセンターであった。コロナ禍を経て久々の舞台で観客を沸かせ、座員たちは継承の決意を新たにした。
松竹座は浪曲の語りで芝居を展開する「節劇(ふしげき)」を今に残す。1927(昭和2)年に結成し、いったん途絶えて93年に座員22人で復活した。秋祭りなどで演じてきたが、コロナ禍の2020年に無観客公演を行って以降、舞台から遠ざかっていた。
再開に向け今年6月から30~80代の座員11人で稽古を開始し、本番を迎えた。演目の「関取千両幟(のぼり)」は看板力士が病気になり部屋の興業ができなくなる物語で、座員たちは抑揚を付けたせりふとしなやかな所作で集まった約70人の観客を魅了した。盛り上がりの場面になると、会場から投げ銭が飛んだ。
井上宗治座長(75)は「節目によい舞台ができた。これを機に出演を増やし、地元外からの座員も確保して後世につなぎたい」と力を込めた。
(吉田雅史)