島根県の丸山達也知事が20日、広島市の中国電力本社を訪れ、中川賢剛社長に電気料金の引き下げを求めた。中電側は「収支財務の状況を総合的に勘案して検討する」と述べるにとどめた。丸山知事は、中電が2023年4~9月期連結決算で純利益が過去最高の1230億円となり、株主配当を増やす一方、電気料金を据え置く姿勢を問題視していた。
中川社長ら中電経営陣と面会した丸山知事は、事業者や一般の利用者がエネルギーの高騰、電気料金の引き上げの影響を受けていると指摘し、「利用者の理解が得られるよう、今後の決算の状況を見ながら、料金引き下げの余地がないかを常に検討する姿勢で臨んでほしい」と要請した。
中川社長は「利用者の理解を得ることは重要だ」との見解を示す一方、財務基盤の立て直しが必要な経営状況を説明し、将来的な料金の値下げは収支財務の状況を総合的に勘案して検討する考えを示した。
面会後の取材に対し、丸山知事は直談判の理由を「一般の利用者の疑問を直接伝えたいと思ってお邪魔した」と説明。中電側からの説明を受け「(値下げが)直ちにできる状況ではないと理解している」とした上で「引き下げが可能になる財務状況になれば検討してほしい」と述べた。
中電を含む大手電力7社が申請した家庭向け規制料金の値上げを5月に認可した政府への行動に関しては「島根県知事なので、県民のために中電にお願いすることまでは時間とお金をかけることができる。(政府に対しては)国会議員など山ほど利害関係者がいる。ちゃんと仕事をしてもらいたい」と述べた。
(新藤正春)