空のわんを奪おうと手を伸ばす女性=島根県吉賀町下須
空のわんを奪おうと手を伸ばす女性=島根県吉賀町下須

 山盛りのご飯を食べて五穀豊穣(ほうじょう)や地域の安寧を願う伝統行事「萬歳楽(まんざいらく)」が3日、島根県吉賀町下須であった。招待客が8寸(24センチ)の高さに盛られた「高飯(たかめし)」を平らげ、接待役の女性たちにおかわりを盛られないよう「わん隠し」を繰り広げた。


 

 

 旧柿木村下須地区に500年以上前から伝わる師走の奇祭で、県の無形民俗文化財に指定されている。

 持ち回りで会場を引き受ける「当屋」を務めた会社員村上拓美さん(50)宅に神職や招待客11人が集まった。神事に続いて飯食いの行事に移り、地区の女性10人が3合を盛った高飯や芋煮、なます、お酒を振る舞った。

 新型コロナウイルス禍の影響で飯食いは4年ぶり。規模縮小で、わん隠しはしない予定だったが2カ所で起こり、客は背中にわんを隠したり、隣の客に渡したりしてかわそうとし、会場に笑い声が響いた。

 地区民でつくる萬歳楽保持者会の下森敏弘会長(80)は「久しぶりにできてよかった。来年は本格的に行いたい」とほほ笑んだ。

(中山竜一)