積雪への備えが必要な時季を迎えた。今年1月には松江市内で除雪が追いつかない大雪に見舞われ、交通網が混乱した。教訓を生かすため、島根県と松江市は出動基準の見直しや道路の舗装に取り組み、早期の出動体制と作業員の経験に頼らずに除雪できる体制の構築を進める。21日から冬型の気圧配置が強まり、山陰両県で大雪の恐れがある中、実行力が試される。
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1月の大雪は松江市街地で38センチを観測。圧雪で市街地は車両の走行が難しくなる路面の凹凸が発生した。県道路維持課は、除雪車両の運転者が道路の段差やマンホールの突出などを警戒し、路面ぎりぎりまで除雪ができなかったことを理由に挙げる。慎重になるほど除雪速度が落ち、除雪量も下がり、路面に多く残った雪が再び凍ると滑りやすい凹凸の路面になるという。
若手などの作業員にとって早期の技術向上は難しく、経験に頼らない体制を構築するため、県は年内をめどに8400万円かけて市内77カ所の道路で段差の解消などの舗装整備を終える計画を立てる。
従来の県や市の計画は「積雪15センチ」を基準に自治体側が事業者に除雪を依頼し、15センチ未満の場合は事業者の判断に委ねていた。今季は運用を見直し、積雪の少ない段階で作業に着手できるよう基準を「5~10センチ」に見直した。
設備の整備も進める。事業者が目視で判断していた積雪状況を即時に把握できるよう9900万円かけて道路カメラを2024年度に市内19カ所に設置予定。除雪機械は4億2400万円かけ、車道用に13台、歩道用に6台を配備する。県道路維持課の大野利博課長は「早い段階から取りかかるための体制を整える」と話した。
松江市防災危機管理課は、市内の主要な道路は交通量が多く、除雪車の通行が困難になり、除雪の速度や効率の低下につながるとして、大雪の際は不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。(高見維吹)