出雲市湖陵町差海の佐志武(さしむ)神社の例大祭が18、19の両日あり、高さ5メートルの伝統飾り「神事華」が奉納され、多くの参拝者が五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全を願った。
神事華は400年以上前から差海に伝わる。細く割った青竹を束ね、傘のようにドーム形に垂らし、花に見立てた色紙千枚以上で装飾。直径は6メートルあり、重さは300キロ以上という。
金、銀、赤、緑、紺の5色の折り花で彩るメインの「区の華」は、差海の4地区が順番に担当しており、今年は蛇島地区が手がけた。9月上旬から、地区の大人たちが仕事の合間を使い、約1カ月かけて作った。傘の一番下には「束ね」と呼ばれる5色全てを使った花を添えた。
最終日の19日は、神社の境内に、住民有志が作った3本を含めた計4本の神事華が立てられ、男衆が祝い歌を歌いながら、華の周りで踊りを披露。終盤には、男衆の一人が竹を伝っててっぺんに上り、上から餅や菓子をまき、住民らが競うように取り合った。
蛇島地区の稗田晃久さん(54)は「地域やみんなの安全を願って区の華を作った。伝統をこれからも継承していきたい」と話した。
(佐野卓矢)