全国東宝系で公開中の映画「ゴジラ-1.0」(マイナスワン)。世界興行収入が100億円を突破したヒット作に一畑電車が協力し、話題を呼んでいる。協力の裏側や採用された理由に迫った。
(報道部・林李奈)

[動画]【予告】映画『ゴジラ-1.0』《大ヒット上映中》
 

 

 どこに一畑電車?


 ゴジラ-1.0の舞台設定は戦後間もない日本。人々が懸命に生きようとする中、突然現れたゴジラが復興途中のまちを容赦なく破壊するストーリーだ。

 一畑電車が採用されているのは、浜辺美波さん演じるヒロイン大石典子が電車の中で初めてゴジラに遭遇する場面。大石典子が乗る山手線(国鉄63系)が発進してから急停車するまでの音だ。

映画「ゴジラ-1.0」で一畑電車のデハニ50形の音声が使用された電車がゴジラに襲われるシーン(©2023 TOHO CO., LTD.)

 

 採用の理由

 

 制作会社「ロボット」のコンテンツ制作部・阿部豪さんによると、時代設定が戦後で、音でリアリティーを追求した結果、一畑電車に決めたという。

 一畑電車が所有しているデハニ50形は1929年に製造され今も動く。デハニ50形はモーターが「吊(つ)り掛け駆動」方式。モーターが台車枠と車軸に橋渡しされるような形で載っている構造だ。

一畑電車が所有しているデハニ50形

 今の電車と違い、加速すると車のエンジン音のような「ギュイーン」と特徴的な音が鳴る。当時の仕様の車両を所有する一畑電車に白羽の矢が立った。

 阿部さんは「モーターの音程が上昇する独特な音は、他では収録できない。本当に貴重な音。銀座の電車シーンに説得力を持たせることができた」と断言する。

 

 一畑電車と映画の縁


 一畑電車は、...