今年もまもなく終わろうとしていますね。この1年間、みなさんの周りではどのような出来事(できごと)があったでしょうか。また、日本や世界では、どのような事があったでしょうか。
大みそかの今日は、3冊(さつ)の絵本を紹介(しょうかい)します。どの絵本も長年親しまれてきたものなので、みなさんも知っている本があるかもしれませんね。一年のおわりに、絵本の世界を味わいながら「この世界はどういうものかな、どういう風になっていくといいのかな」なんて考えてもらえたらと思います。
『旅の絵本』(安野光雅(あんのみつまさ)作、福音館(ふくいんかん)書店)。この絵本に文章はなく、ただ一人の旅人が進む道の風景とそこで暮(く)らす人々の様子を遠くからながめたところが描(えが)かれています。一つ一つの場面を見ていると、自然とその地方の人々の日常(にちじょう)が思い浮(う)かんで雰囲気(ふんいき)も感じられて、なんとも味わい深い作品です。この「旅の絵本」シリーズは、モデルとする地方を変えて全部で10巻(かん)まで描かれています。
ところで、著者(ちょしゃ)の安野さんは島根県津和野(つわの)町で生まれ育ちました。津和野には安野さんの作品を展示(てんじ)する安野光雅美(び)術(じゅつ)館(かん)がありますので、機会があればぜひ訪(おとず)れてみてください。
『すてきな三にんぐみ』(トミー・アンゲラー作、今江祥智(いまえよしとも)訳(やく)、偕成社(かいせいしゃ))。黒いぼうしと黒いマントを身に着けた、だれもがおそれるどろぼうの3人組。この3人組がある日、みなしごのティファニーちゃんと出会ったことをきっかけに、物語は思わぬ方向に進んでいきます。
いまは悪党(あくとう)に見える人たちも、何かのきっかけで変わることがあるのかもしれないなと考えてしまいます。
『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ絵、内田莉莎子(うちだりさこ)訳、福音館書店)。ウクライナの民話をもとに描かれた、冬のお話。雪の降(ふ)る森に落ちていた手ぶくろにネズミが入りこみ、カエルやウサギ、イノシシやクマまで、次々にさまざまな生き物がやってきます。「わたしも入れて」「どうぞ」とたくさんの動物が入った手ぶくろの中は、一体どのようになっているのでしょうか。想像(そうぞう)するだけで楽しい気持ちになりますね。
これらの絵本はどれも、初めに出版(しゅっぱん)されてから数十年もの長きにわたって世界のあらゆる場所で親しまれてきました。時間も場所もこえて多くの人が楽しんできたというのは、とてもすてきなことですね。
一人で読むのはもちろん、家族や友だちなど周りの人とも本の楽しさを分かち合ってもらえたらと思います。
(麻田真(あさだまこと)・鳥取県立倉吉(くらよし)東(ひがし)高校司書主任(しゅにん))













