佐々木恵未さんの作品をじっくりと鑑賞する親子=江津市江津町、江津市子育てサポートセンター
佐々木恵未さんの作品をじっくりと鑑賞する親子=江津市江津町、江津市子育てサポートセンター

 江津市出身の童画家・佐々木恵未さん(1955~2014年)が他界し、20日で10年を迎える。愛らしい動物や人、風景を色彩豊かに描いた童画は、生家を改築した童画館や市内子育て施設などに飾られ、親子らの目を楽しませる。佐々木さんと生前から関わりが深い関係者は、節目を機に作品に関心を持ってもらおうと鑑賞を呼びかける。(村上栄太郎)
 

佐々木恵未さん


 「動物や雪だるまがかわいいね」。17日午前、江津市子育てサポートセンター(江津市江津町)を訪れた同市和木町の主婦脇本美絵さん(34)は、壁掛けされた佐々木さんの童画パネルを、息子の耕大郎ちゃん(1)と鑑賞しながら話しかけていた。

 佐々木さんは、同センターの指定管理者のNPO法人ちゃいるどりーむ(同)の理事を他界するまで務め、親子向けイベントで読み聞かせの参加や協力をした。作品の魅力を継続して伝えようと、正面玄関付近や廊下、屋外遊び場の側面などに作品パネルを常時展示している。

 NPO法人が主催の親子イベントでは専用コーナーを設け、所有するパネルを展示する。NPO法人の佐々木幸恵理事長(73)は「人を引き寄せる絵の力は時を経ても変わらない。親子が恵未さんに興味を持つ機会を可能な限り作っていきたい」と話した。

 佐々木さんの作品は、子育て世帯が協賛店でサービスを受けられる、しまね子育て応援パスポート「こっころパスポート」に使用されるなど県民になじみ深い。亡くなって10年、佐々木さんの思いや作品の魅力を伝え続けようという関係者の思いも強い。

 佐々木さんの生家を改築し、16年にオープンした恵未童画館(同市嘉久志町)は、アトリエを生前のまま残し、7つの展示室に水彩の原画350点以上を入れ替えながら展示。命日となる20日は開館する。

佐々木恵未さん生家を改築した恵未童画館を管理する本藤和恵さん=江津市嘉久志町


 来場者数は当初、1日30人程度だったが現在は1日数人と減っている。管理する本藤和恵さん(64)は「時の流れで恵未さんの記憶が人から薄れていったのを実感する」としながら「遺言の『子どもたちの私の絵を見せてほしい』との思いに応えられるよう、訪れた人を癒やせる環境は整え続けたい」と気を引き締めた。

 不定期の日曜日開館。時間は午前10時半~午後3時。無料。別日の事前予約は可能。問い合わせは江津市観光協会、電話0855(52)0534。