江津市桜江町川戸、桜江小学校6年生が23日、市指定無形民俗文化財「勝地半紙(かちじばんし)」を継承する同町長谷、風の工房を訪れ、卒業証書用(縦27センチ、横39センチ)の紙をすいた。
児童21人は勝地半紙を継承する風の工房の佐々木誠さん(65)と妻さとみさん(57)の手ほどきを受けて紙すきに挑戦。「簀桁(すけた)」と呼ばれる紙すき用の道具を手に、コウゾの繊維が混ざった水槽に漬けて揺すり、厚さを確認しながら丁寧に紙に仕上げた。
卒業証書の紙すきは児童が地域の伝統文化を体験する10年以上続く行事。品川爽人(あきと)君(12)は「一生の思い出になる卒業証書を自分で作ることができてうれしい。もらうのが楽しみ」と笑顔で話した。3月19日の卒業式で手渡される。
勝地半紙は室町時代ごろから桜江町周辺で生産され、複数の紙すき職人が活動した。大量生産の紙が普及した1960年代ごろから衰退し、現在は佐々木さん夫妻が継承している。(村上栄太郎)