石本正(石正美術館提供)
石本正(石正美術館提供)
フクロウの家族を描いた石本正の作品「根瀝」(1958年、部分)=石正美術館提供
フクロウの家族を描いた石本正の作品「根瀝」(1958年、部分)=石正美術館提供
石本正(石正美術館提供) フクロウの家族を描いた石本正の作品「根瀝」(1958年、部分)=石正美術館提供

 裸婦、舞妓(まいこ)を描き人気を博した日本画家・石本正氏(1920~2015年、浜田市三隅町出身)の作品を収蔵する、浜田市三隅町古市場の石正美術館が、石本氏の動物の絵画に特化した企画展を7月6日に始める。透き通る肌が特徴的な女性や、裸体の作品が全くない展示は2001年の開館以来、初めて。同館はこれまで来館に遠慮がちだった家族連れなど、新たなファン獲得に期待する。

 石本氏の画業は75年に及び、同館は約1万4千点を収蔵する。このうち7割が裸婦、舞妓を描いた作品で、企画展では重要な位置付けを占めてきた。来館者は年1万5千人で推移し、ほとんどが50代以上。子どもの鑑賞機会は、主に同館周辺地域の小学・中学校の見学や遠足だった。

 横山由美子主任学芸員は「裸婦の展示を恥ずかしがる子もいるし、親子連れの鑑賞は親の方が敬遠してきたと思う」と話す。

 同館によると、石本氏が裸婦美、女性美を描く画家として知られているのは、圧倒的な作品量が影響。40代後半から70代までの長期間、裸婦、舞妓を集中的に描いたという。ただ、40代前半までは動物も描き、80代になってからは昔を思い出したかのように再び手掛けるようになった。

 「生きもの讃歌(さんか)」と題する企画展では、フクロウやコンドルといった鳥、馬やクラゲなどの約60点を紹介する。表情に憂いを漂わせる女性たちの作品群とは一変し、親子やつがいで描いた動物の絵からは、家族愛や夫婦愛の温かみを感じさせる。石本氏の別の一面がうかがえそうだ。

 横山主任学芸員は「動物を通じて命や絆の大切さ、躍動感を伝えたい」と強調する。10月24日まで。同館は現在、6月27日までの会期で企画展「描かれた肌」を開いている。 (板垣敏郎)