国の重要文化財で保存修理工事中の鷲原八幡宮(島根県津和野町鷲原)で29日、一つの建物をかやぶき、檜皮(ひわだ)ぶき、こけらぶきの屋根で構成するのが特徴的な楼門が報道陣に公開された。
八幡宮は室町時代に建築された町内最古の建造物。社殿を所有する「宗教法人八幡宮」の建造物保存修理事業で本殿、拝殿、楼門を一度、解体して修復、耐震補強をする。2023年2月に着工し、29年12月の完成を目指す。
楼門は1554年に戦乱で焼失後、68年に再建された。2層構造で入り母屋造りの上層部分はかやぶき、下層はひさし部分が檜皮ぶき、両側の翼廊はサワラの板を重ねたこけらぶきとなっている。
文化財建造物保存技術協会の現地事務所の太田英一所長(51)が「一つの建物の屋根に3種類のふき方をするのは全国的にも珍しい」と解説。今回の解体を機に骨組みの部材やくぎなどから年代を調べ、過去の修理過程も分析しながら創建時の姿を探るという。
文化財を担当する町教育委員会の宮田健一教育次長補佐(53)は「重要文化財の全解体修理は町内で初めて。情報発信して、多くの人に価値を知ってほしい」と話した。
楼門は今夏、一般向けの見学会が開かれる予定。総事業費は8億7千万円で、国が85%を補助する。
(藤本ちあき)