民放各局が能登半島地震の被災者支援の募金活動を展開する中で、日本テレビ(東京都)だけ活動を呼びかけていないことが1日、分かった。系列の日本海テレビジョン放送(NKT、鳥取市田園町4丁目)の元幹部社員が、チャリティー番組「24時間テレビ」の募金を着服した問題が背景にある。
日本海テレビでは、元経営戦略局長が、24時間テレビの募金264万6020円などを着服していたことが昨年11月に発覚。元局長は懲戒解雇され、会長が引責辞任した。
日テレ広報部によると、この問題が影響し、能登半島地震の募金活動を見送っているという。
日テレ系31局でつくる24時間テレビチャリティー委員会(東京都)は被災地の石川県に1千万円、福井、富山、新潟各県に500万円を贈っている。一方、委員会として募金を呼びかけず、原資に昨年の24時間テレビの寄付金を充てた。
着服事案が全国の系列局に波及し、被災者に義援金を届けられていない現状に日本海テレビは「事実を重く受け止めています」とコメントし、日本赤十字社などの募金先を案内しているとした。
募金活動の再開について日テレは、今月17日の特別番組などで視聴者に理解を得る必要があるとしている。
着服を受け、24時間テレビチャリティー委員会と日本海テレビは1日、台帳管理の徹底▽寄付金が入った容器を規定のシールで封印▽募金活動を同委員会がモニタリング調査-といった再発防止策を公表した。他に新たな不正事例は確認されなかった。
能登半島地震の募金で、フジテレビ系列は「サザエさん募金」、テレビ朝日系列は「ドラえもん募金」と題した活動を展開。TBSも系列のテレビ・ラジオ局と実施している。
(曽田元気)