島根県内にある学校の健康診断で、児童生徒のプライバシーや心情に配慮する動きが進んでいる。多くの学校が内科健診時に体操服を着用し、パーティションを設置して個別の診察スペースを設けるなど対応を強める。ただ、正確な判断のために服をめくって診察しなければならないケースもあり、診断を担う医師は理解を求める。
松江市教育委員会は、2022年度から、市立の小中学校、高校の健康診断の実態調査をしている。文部科学省がプライバシー配慮を求めた1月の通知を踏まえ市医師会と協議して、健診の留意点をまとめ、学校と学校医に24年度の健診までに周知する。
保護者から衣服越しの聴診や、着衣による視診を求める意見があるなど関心は高く、多くの学校が体操服を着用して実施する。留意点の作成について学校教育課の後藤幸広課長は「学校の体制や学校医の変更があるため、毎年度通知し、継続して注意喚起するため」と対応に気を使う。
益田、江津、安来、奥出雲、飯南、川本、美郷、西ノ島、隠岐の島の9市町の教育委員会は、全校がプライバシーに配慮した対応を取っていることを把握する。多くは内科健診は体操服を着用し、パーティションで仕切られた個別のスペースで受診。女性の養護教諭が立ち会い、医師は体操服の下から聴診器を入れる。
益田市学校教育課の田原正紀課長は「性の多様性に配慮し、男女別ではなく、一人ずつ部屋で受けさせる学校もあり、対応はさまざまだ」と話す。
文部科学省は1月、健康診断の環境整備について全国の教育委員会に通知し、原則体操服や下着の着衣、タオルで体を覆うことを明示。男女別での実施や女子の検査・診察は女性教職員が立ち会うことなどを例示した。
ただ、脊柱のねじれや胸郭の変形、皮膚疾患の確認は、服をめくって視触診する場合もあり、心臓の音を聞く聴診器は、雑音を避けるため肌に直接当てることが望ましい。県医師会学校医部会の浅野博雄部会長は「正確な判断のため、必要に応じて診察医の裁量で実施する場合があることは理解してほしい」と話した。(小引久実)












