島根県立大理事長兼学長 清原 正義

 今、受験シーズン真っただ中。毎年この時期、喜びと切なさが交錯する。とりわけ、不合格の高校生を見る切なさは大きい。島根県立大を不合格になる島根の高校生が350人に上るからだ。

 2020年度の県立大入学者は短大部を含めて567人、このうち265人が島根県内の高校生。県内率は47%となっている。

 ちなみに、四年制の都道府県立大の県内率は平均で51%(19年度)。島根県立大は四年制では42%で全国平均をかなり下回る。

 中でも、総合政策学部(浜田キャンパス)は県内率28%にとどまる。そこで、21年度から国際関係学部と地域政策学部に再編し、合わせて入試改革を行うことにした。

 入試改革の大きな目標は、意欲ある島根の高校生の入学を増やすことだ。具体的には▽県内枠の活用▽学校推薦型選抜と総合型選抜で大学入学共通テストの利用撤廃▽学校推薦型選抜は県内に限定し、連携校推薦を導入する-などである。

 このうち連携校推薦は、高校生が夏休みに大学でプレゼンテーションを練習し、秋に成果を発表するもので、地域政策学部地域づくりコースで20人を募集した。高校と「ともに育てる」入試で、島根に愛情と関心、誇りと志を持つ学生を育てたい。

 県内高校生を増やす入試改革には、公平な競争を妨げるという批判がある。しかし、公平な競争を言うだけでは、18歳人口の分布や受験競争の現実の中で、島根の高校生の割合は低くなるばかりだ。

 県立大は運営費の3分の2に当たる21億円が県の年間の交付金。その財源は県民のために使うべき県民の税金なのである。負担の公平を考えると、県内高校生の割合が5割から7割になるのが妥当だと言える。

 先日、県議会常任委員会の視察で、学生たちが意見発表をした。その中に、県内高校の地域学習がきっかけとなり、地域活性化を学ぶため県立大に入学。卒業後は地元の町役場に就職するという学生がいた。

 また、県立大の地域連携にひかれ、地域の看護師を目指すという学生や、社会人だったが地域の子育てのため保育を学んでいるという学生もいた。こうした島根の学生が増えてほしいと私は思う。

 問題は、入学した県内出身学生の8割が県内に就職する一方で、県立大を不合格になる県内高校生が、毎年300人を大きく超えることだ。この高校生の多くは、やむをえず県外に出ているのではなかろうか。そう考えると、島根の創生を支える貴重な人材を、私たちはみすみす見逃しているのではないか。島根の高校生をもっと育てよう。ここに県立大入試改革の原点がある。

 新型コロナウイルス禍の中で、多くの県民からさまざまな支援をいただいた。寄せられたコメはなんと計1トンを超えた。「学生がうちの棚田にきてくれたお礼」という声もあった。

 島根県立大は、こうした県民の思いに応える大学でありたいと思う。

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 きよはら・まさよし 1947年、松江市生まれ。松江北高卒。京都大教育学部卒、東京大大学院教育学研究科博士課程満期退学。兵庫県立大教授、理事長兼学長を経て、2017年から現職。14、15年度は公立大学協会会長を務めた。専門は教育行政。教育学博士。